夜間中学校と外国人の子ども
※夜間中学校:なんらかの理由で義務教育を終えることができなかった人が通う学校。日本人や外国人といった国籍を問わず、また年齢も問わない。卒業すれば通常の中学校を卒業したのと同等。
日本には出稼ぎの親に連れられて、多くの外国人の子どもも来日しています。
14歳以下であれば、日本の小中学校に入学することができますが、15歳以上の場合は、義務教育年齢を超えているとして中学校に入学できないケースが多くあります。
問題は、その子どもが母国で9年生(日本での中学3年生相当)に該当する学年を終了していない場合、中学校を卒業していないと同等であるために高校進学ができない、つまり進学の道を閉ざされていることです。
9年生(中学校)を卒業できていない理由は様々あり、親の来日時期の都合や、健康問題、家庭環境、パンデミックによる学校閉鎖、不登校、進級ができなかったなど、多岐にわたります。中には15歳未満で来日していたにも関わらず、日本の学校に入れることを知らずに家で過ごし、知った時には15歳を超えていた、というケースもあります。
そうした子どもの中には日本に来て、改めて学校に通いたい、進学して専門職に就きたいといった願望をもっている子もいます。しかし、年齢制限のために学校へ通うことができず、また進学もできないという現実に直面するのです。
ただし、進学に関してまったく方法がないわけではありません。
1つ目の方法は、年に1回行われる中学校卒業程度認定試験に合格することです。
この試験に合格すれば、中学校卒業と同程度の能力があると認められ、高校入試を受けることができます。しかし、この試験は外国人向けというわけではなく、日本の小中学校全般の内容を扱っており、ほとんどを外国で育った子どもが合格するには非常にハードルが高いものになっています。学校に通わず、独学で挑むとなると、合格はほぼ不可能と言えます。
2つ目の方法は、夜間中学校に通い、卒業することです。
夜間中学校は教員免許を持った教師が教える、公立の中学校です。当然これも外国人向けというわけではありませんが、学校に通いながら日本語能力を上げつつ、日本の学校で学ぶ内容について勉強ができます。通常の中学校と同じく、卒業すれば高校入試を受けることができます。
しかし、夜間中学校は県立または市町村立であるため、県をまたいでの通学ができません。そして現在岐阜県には残念ながら夜間中学校はありません。
つまり岐阜県の、15歳以上で来日して9年生を終えていない子どもは中学校卒業程度認定試験に合格するしか選択肢がないということです。
これまでも、何人もの子どもが中学校卒業程度認定試験に挑み、志半ばで諦めていく様子を見てきました。中には、母国の学校で優秀だったのに、国語の教科だけどうしても合格できずに、進学を諦めて働くことを決めた子もいました。
早く岐阜県にも夜間中学校ができ、学ぶことを望む誰もが学校に通えるようになれることを願います。